此処って・・・その2

 かくして私は地図上に等高線がシャレにならないくらいに書かれてある地帯を行くはめになった。完全なる山道。しかし、道路が広いためホッとする。山道に踏み込んだのが午後3時ごろ。まだまだ陽はあかるい。しかし、予報では夕方から雨のため、傘を持って歩いていた。てくてく登る。しかし、手荷物が重いので歩くのが遅い。さらにてくてく登ると、何かが道に横たわっている。・・・ヘビの屍骸です。これは、田舎だとよくあるので大丈夫です。そこからまたてくてく登ると、また何かが横たわっている。獣の様ですが何だか分かりません。その屍骸は腐っているので見ないようにして横切る事にしました。そこで不安が過ります。
 「本当にこの道合ってんのか・・・?」と。もう一回思い返し自分の中で合っていることを確認する。しかし、登り始めてからい1時間半以上経っているのに家が見えない。なんか小屋しか無いぞ。しかし、地図には書いてある。とにかく見つけようと思いさらに上へ。
 すると、見つけました!民家が!しかも新しい家!すぐ飛び込んでいくとなんと小さい子が!対象宅です。もちろん嬉々として仕事しましたよ。・・・契約にならなかったけど。まあこの辺がド新人です。で、そのおうちの人には歩いている所を見られていたらしい。で、異様に目立っていたらしいのである。確かにスーツでいっぱい荷物持った奴が山道あるいとったらおかしいわなぁ。で、営業が終わる時間になったので電話を借りて会社の人に迎えに来てもらうように連絡をして、そのおうちを後にした。その時間が6時前。ちょうどイイ時間だな。と思いながら近くのバス停で待っていた。
 待っていたら雨が降って来た。傘を差して迎えを待つ。待つ。待つ。・・・来ない。会社に連絡したときは上司は終了の電話が入っているからすぐくるよ。と、いう話だったのに。まぁ、山奥だしもう少しで来るかな。なんて思いながら待つ。待つ。待つ。来ねぇ。もう1時間経つぞ。だんだん辺りも暗くなり見えなくなってきた。『山奥、雨、バス停』この三拍子そろったら『トトロ』でしょう。ということで寂しくなった私は「トットロ、トット〜ロ♪」なんて歌い始めてしまった。ちょっとおかしいひとです。ぜってートトロいるって!葉っぱで包んだ木のみくれるって!そのうち猫バス来るって!なんて思いながらひたすら待っていました。
 結局1時間半ほど待ったのですが、ここまで人間は短時間で歩いていくのか?と思い、上司は一度途中で引き返したために遅くなってしまったらしい。
 それ以来『山担当』になってしまったのは云うまでも無い。山話はまたの機会に。