そういえば大変だった

 ニュースを見ていたら九州のほうでJリーグの試合を見るために来ていたら雨により会場の駐車場が冠水したそうだ。その記事を見て研修中のことを思い出した。

 ちょうどこの時期のことである。指導部に異動が決まりその研修を受けるために名古屋に研修を1か月ほど受けに行っていた。赴任地も決まり、引っ越しの準備と営業の仲間に挨拶もかねて地元に帰りまた名古屋に戻ったときのことである。地元を出るときは曇りで雨も降っていなかった。高速バスで戻っていたのだが名古屋駅にさしかかったとき「雨結構つよいなあ。」くらいにしか思っていなかった。

 で、寮に戻る前に買い物をしに栄まで行こうと地下鉄に行ったときのことである。なにかはり紙がはってあり、駅員さんにくってかかる人が何人もいるのである。「?」と思いながら東山線に乗り地上に出たら異変に気付いた。水浸しもいい所で車道は水で溢れ、歩道は波打ち際であった。「私をつかまえてみて。あははははは。うふふふふ。」なんて古典的なギャグをかます余裕などなく、買い物を済ませ(そんな中でも買い物はする。結構図太い。)とっとと地下鉄で寮へと向かった。

 寮の近くの駅に着き、あまりにも雨がひどかったのでタクシーで戻ろうとした所、乗り場は凄い行列になっていた。歩いた方が早いなと判断して寮に向かったのが運のツキであった。はじめは雨がひどいくらいであったが、だんだん水たまりが深くなってきた。

 「最悪。」と思いながら歩いて行くとだんだん深くなっていき、最終的には膝までつかった。時間は夜の8時すぎである。あたりは暗い。足下は水でかなり浸かっている。そんなときである。

 「ぐにょ。」


 靴の中にそんな感覚があった。


 見えないと人は色々今までの経験をフルに使い思考する。ここは名古屋だ。上下水道設備は整えられている。田舎の川の洪水とは違う。この洪水の水は下水も混ざっているに違いない。そうすると、この「ぐにょ」という感覚は・・・(あとはご想像にまかせます)。

 「*&¥#$%?!」

 声にならない声を叫び、ヒトのものでなく犬のものでありますようにと願いつつ(今となってはあまりかわらない)、そのあとは、

 
 「ぬおおおおおおおおお!」


 と叫びながらざぶざぶ歩いてもどりました。

 なんとか、寮に辿り着いて靴の中を恐る恐る見た所、中敷と靴の間の接着剤が溶けただけでありました。それも、4・5年前のこと。やっぱり自然災害は大変である。