サイトをめぐって思い出したこと

よく医学生ちりんさんのところを見させてもらっているが、今日はCROCODILE TEARさんのところも見させてもらった。介護について書いてあったが、一体どこまでが介護なんだろう?今は中学生を教えている指導員だが、それになる前の一年半は営業部にいた。飛び込みで教材を(私は幼児向け教材。分かる人は会社名も分かるだろうな。)販売していた頃の事を思い出した。当時まだ入社したてで(そのときすでに『三年目のような顔をしている』と言われた。余計なお世話だ)契約も取れてきた時、ある一軒家に入って行ったことである。田舎部なので、そのへん一体はお年寄りばかりで、子どもなんていないと聞き込みでも言われていた。しかし、赤ちゃんから使える教材を担当していた私はしらみつぶしに訪問しないといけないので、もちろん入って行った。玄関に入ると、驚き目を疑った。おばあさんが玄関で倒れているのである。次の瞬間、『大丈夫ですか!』とかけよると、意識はあったが自分では動けないようだった。さらに声をかけるとすぐ見える介護ベットがある部屋の中にいれてと言った(すくなくとも私はそう受け取った)ので、コンクリートの玄関の床から部屋の中につれて行くことにした。「立てますか』と訊ねたが、おばあさんは足を全く動かすことができないようで、私が「どうしよう。おばあちゃん、あの部屋までつれていけないよ。」というと、次の瞬間おばあさんがとった行動にびっくりした。両肘をあげたのである。これは、あとで知ったのだが介護されるとき、移動するときにとるポーズらしいのです。何も知らなかったのだが、移動しやすくしてくれたのだと思い、中にようやくつれて行くことができたのである。そして、部屋になんとか連れていけたのだが、今度は、ベットに寝かせてと訴えるので、何度もベットに寝かせようとしたけれど、ベットの柵が邪魔をして寝かせることが出来なかったのです。おばあさんの望みをかなえることができず、涙があふれてきて、「ごめんね。寝かせられなくて。ごめんね。」と泣きながらおばあさんに謝ると、おばあさんは私の手を取って、一緒に泣いていました。家を出るとき玄関の床にはタオルが轢いてありました。しかし、足の不自由なあのおばあさんがそこまで行けないだろうし誰かが連れていったのだろう。生理的なにおいもしたので、おむつも長時間換えていないのだろう。私は後ろ髪を引かれる思いでその場をあとにした。なんとかしたかったのだが、それ以上は他人である私が首を突っ込んでは行けない領域をはるかに越えていた。これを読むと、他人の家に入って何をしているんだと思う方もいるだろう。ただ、私は冷たい玄関の床に寝ているおばあさんを、靴と一緒の床から救いたかった。あのおばあさんは今も元気だろうか?