判決


 かなり疲れた体にムチを打って、会社へ向かう。天気がよかったが、よぎるのは今日は大野事件の判決の日だということ。


 ああ・・・仕事は午前中手につかないなぁ・・・いやいや、仕事はちゃんとせな。と思いつつ出社。席を立ったときも、やっぱり頭によぎる。社内メールで新しい記事のお知らせがきた。


 「大野事件は無罪判決!」


 それを見た瞬間泣きそうになった。

 おそらく明日以降、シンポジウムの様子など詳しいレポートが出てくるんだろうと期待。


 昼休みなど仕事の合間にニュースを見る。


 この事件はあまりにも切ない。遺族の感情もわかる。痛いほど。そして、不当逮捕により、医師の生活も一変した。


 事件の直接の関係者のなかで、一体誰が得をしたというのだろう?




 誰もいない。ただ、生活を一変させるほどの深い悲しみと苦労が起こり、それが今なお続いている。


 悲しさ、苦しさしか残らない。


 
 医療は進歩しても、命を100%救えるものではない。それは神の領域であるということを皆が分っていないといけない。